松下村塾の双璧☆彡

高杉晋作と久坂玄瑞

高杉晋作と久坂玄瑞

これは歴史書です。高杉晋作久坂玄瑞は、明治維新に携わった歴史上の人物で、両人とも長州藩出身、吉田松陰の主宰する松下村塾にまなび、松陰の死後、全国を東奔西走しつつ二人ともそれぞれのやり方で倒幕運動を展開します。
松下村塾の双璧」と称され、親友であり又ライバルでもあった高杉晋作久坂玄瑞、二人の交流や思想の変遷について、時代の流れに即しつつまた史料を紹介しつつ、説明を与えていきます。

現代では、「久坂玄瑞」について詳しく扱った歴史書が極めて少いので、この本は長州藩松下村塾を知るうえで参考に出来る(信頼に足る)史料だと思う。高杉晋作は知ってるけど、久坂ってだれ?という方もかなり多んじゃないかな。これは慙愧に耐えんことだ。

久坂の存命中(すなわち元治元年・禁門の変のおこる前までは)、久坂の意見が長州藩の意見であり全国の志士の意思でもあったのは厳然たる事実で…まあ高杉のほうが数倍行動が華美だし目立っていて久坂はその影に隠れるようなカタチになってしまっているけど…、長州藩を実際に指導していったのは、久坂玄瑞ですよね。(あと桂小五郎も。)

しかし彼は、二十五歳という若さで、京都に散るのでした。高杉は、久坂の死を悼んでこのような漢詩を残した。

骨を皇城に埋めて宿志酬ゆ
精忠苦節、千秋に足る
欽す君が同盟の裏に卓立して
負かず青年第一流

青年第一流…か。
かつて吉田松陰が、まだ十八だった久坂玄瑞を評して、
「防長二州少年第一流、よってまた天下の英才たり」といったことがあります。
それを踏まえて言っているんでしょうね。あの傲岸不遜な高杉晋作から一目おかれる久坂という人物。ただものではない。

史料からの引用が多いので、コアな幕末ファンにも嬉しい歴史本です。また史料は全文、現代語訳してあるため、初心者にも容易く読める歴史書だと思います。革命を通して高杉・久坂ふたりの友情と対立の両輪を綴った一書です。