トルストイ熱弁!!☆人間はどう生きるべきか☆彡

新版 人生論 (角川文庫)

新版 人生論 (角川文庫)

 

すべて重荷を負うて苦しんでいるものは、わたしのもとに来るがいい。きみたちを休ませてあげよう。わたしは柔和な心のへりくだったものなのだから、このわたしに見ならって、わたしのくびきを身に負うがいい。そうすれば、きみたちの魂にやすらぎが与えられよう。わたしのくびきは負いやすく、わたしの荷は軽いのだから (マタイによる福音書十一章二八―三〇節)

トルストイは生命探求という議題をかかげる現代の科学を全否定しているのがとてもよくわかった。あー…
そこまで言わなくても…科学不信になりそう。でもトルストイアニミズムとかヴィタリズムとかいった科学知識をもったうえで批判してるから文句いえないよな

この本は『人生論』というタイトルだけど、中身は宗教論なんですね。『生命論』とも取れる。
トルストイのいう「生命とは、人生とは、なんぞや」。

生命の意味は、人間の意識のうちで、幸福をもとめてやまぬ欲求として、説きあかされるものなのである。この幸福の意味を明らかにして、いっそう正確に定義することが、人間全体に課せられた人生の重大な事業であり、目的なのである。
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宗教の解く教えというものは、すべて、この偽りのない実際の幸福──人間にもっともふさわしい幸福をもとめてやまぬ欲求として、人生を定義したものにほかならないのである。

宗教=隣人愛=自己を犠牲にして他人に捧げる愛は、おのずから自分をも幸福にしてくれる。
動物的自我(本能)の求める欲求…およそ快楽とよばれるモノすべてを手に入れたところで幸福になれるはずはない。人々の行き着く先は破滅であり、ヒトはいつでもこの得体の知れぬ「死」の存在に恐怖している…しかし「愛」はそれさえも超越して人々にほんとうの、際限ない幸福を与えてくれるのである
とおっしゃっているようです。
ああ、読んでるだけで幸せになった、救われた。というか有意義な一冊でした。トルストイはほんとうに敬虔なキリスト教徒なんですねー(トルストイの好きなものはバラモン、キリスト、孔子老子仏陀ゾロアスター、イザヤ、エピクテトス…といわゆる宗教家が大半)

意識の発生から本当の人生は始まる。

肉体ではなく、『意識』という不可視の絶対的存在を中心に論説が展開してるのが興味深い。
意識、意識…肉体と違って時間と空間の束縛をうけない意識。肉体は滅びても意識は不滅である…といわれてああ、宗教でよくいう「来世」だとか「不死」だとかいう超自然はこれのこと?と納得。
トルストイの説く聖書は、単なる感傷的、詩的、超自然的聖典ではありません。理論的に解き明かされる哲学書なのだ。