新装版 坂の上の雲 (2) (文春文庫)

新装版 坂の上の雲 (2) (文春文庫)

二巻では日清戦争米西戦争キューバをめぐるアメリカとスペインの戦争)を経過します。

主人公である秋山真之はいずれの戦争にも間接的に参戦するのですが、あくまでも「傍観者」としてのスタンスは保ち続ける。
この戦争について学んだ内容を来るべき日露戦争で華麗にアウトプットするのです。
その意味で名将・秋山真之にとってこれらの戦争はきわめて実益となったことでしょう。

一巻の青くさい書生時代は遠ざかり、正岡子規秋山真之の両人はおのおのの専門分野で活躍し始めます。

子規はそれまでホコリをかぶっていた日本の俳句界を一掃するために盛んに文筆活動をするし、真之は海軍の新知識として米国・英国留学、とまさに物語が脈動しはじめました。わくわくしますねえ。
そして子規は…晩年のかれを苦しめた脊椎カリエスを発症し、病床につきます。子規を見舞って枕辺に鎮座する秋山真之と、子規との、…なんともいえない会話!…さみしい!!
秋山真之は文芸活動に励む子規のすがたを目の当たりにするたびに、海軍に入るために文学への志を断念してしまったことが思い返されるらしく、胸をうずかせている…。
楽しかった書生時代は未だそう遠退いていず、「若かった」自分と隣り合わせの、そんな秋山真之
親友である子規に幾分負い目を感じている秋山の複雑な内面が、この小説に微妙な陰影を落としているのです。
そういえば一昨年は日露戦争百周年でしたよね★遊就館靖国神社の資料館)で大規模な日露戦争展やってましたよ。
東郷元帥の軍服とか展示してあってね…ちと興奮した。