生れたときから老人だった☆彡アナトール・フランスの出世作☆アカデミー・フランセーズ賞作品★

シルヴェストル・ボナールの罪 (岩波文庫)

シルヴェストル・ボナールの罪 (岩波文庫)

アナトール・フランス出世作です。アカデミー・フランセーズ賞を受賞してます。

外国人作家はあまり読まないんですが(…せいぜい、好き、と言えるのはトーマス・マンくらいじゃないか?)、フランスの小説ってスタンダールのような、『恋愛論』とか『赤と黒』のよーな恋愛小説ばかりだと思ってた。←甚だしい偏見。でもこの小説はまったくそのようなことはありませんでした。

ちょっとしなびた感じが好き(笑)

セーヌ河畔で愛読書に囲まれ日々読書して暮らすシルヴェストル老学士院会員(年齢にして54〜70歳)の日記体長篇小説。
しみじみと情緒深い素敵な日記でした。老年期の男性の知恵と愛情が溢れてます。大好きです。
あーシルベストル翁のような、日々読書だけしていられる生活が羨ましい。…でも翁自身、読書だけの生活で果たして何が残るのだろう…と、フッと虚脱感に襲われることもあり、そこがいかにも懐疑派のアナトール・フランスらしいというか?これもある意味で私小説なのだろうなぁ。アナトール・フランスシルヴェストル・ボナールには共通点が多すぎる。
ただし、アナトール・フランスの体験に基づいて書かれたのではなく、『シルヴェストル・ボナールの罪』が行為を先行し、アナトール・フランスがそれを忠実に実行してるという…(???このへんは岩波の後書きに詳しいけど)ちょっと不思議な私小説

こんな素敵な小説を書いてしまうアナトール・フランスはどんな好々爺であろう、と思っていたらこの小説書いた当時(1881年、日本では明治14年)アナトール・フランス37歳

そ、壮年期かよ!?

アナトール・フランスが「うまれたときから老人だった」といわれているのを後になって知りました。