昭和のホリエモン?青の時代〜アプレゲール犯罪〜

青の時代 (新潮文庫)

青の時代 (新潮文庫)

結構前に読み終わってたんですけど、こないだ読んだ『面白すぎる日記たち』という本と微妙に関連するので、読後感を記しておこうと思います。
ライブドア事件の一連の騒動で、マスコミがこの小説をとり上げていたので、それで読んだ方けっこういらっしゃるのではないかな。

この小説はですね、「光クラブ事件」という実際起こったアプレゲール(戦後)犯罪を元ネタにした小説なのです。『青の時代』の主人公・誠は、光クラブ事件の首謀者、山崎晃嗣をモデルにしている。ちなみに光クラブ事件は、東大生がヤミ金融で大もうけして、結局警察につかまった事件です。学生であり敏腕社長だった山崎は、謎のダジャレ?を遺して服毒自殺しました。
この山崎という男の奇矯っぷりに興味を覚えたのが、『青の時代』を手に取った動機です。

あーーーこれは。…う〜〜ん三島さんらしくない小説…おそらく、駄作といわれる類の…って三島さん御自身が、この小説については不満足らしい(と後書きで述べていました)のでさらに意外な感じでした。
私は、『青の時代』を読む以前から山崎という男と、実際の事件のことをかなり詳しく調べていましたので、この小説と光クラブ事件との関連の薄さと、主人公の誠と山崎との関連の薄さが気になりました…三島さん、下調べが足りなかったんじゃないかな。
事実は小説よりも奇なりと申しますが、まったくそのとおりです。
小説『青の時代』より、光クラブ事件のほうが特殊でおもしろかったなー
批判ばかりしていますが、勿論三島作品らしく感心する点がいくつもありました。三島小説における恋愛は、ある種の哲学ですよね…この小説も誠と野上耀子の恋愛遊戯は白眉!
そして、誠と愛宕の最後の会話のシニカルさ?さわやかな嫌味!(笑)は、だいすきです。