年度ごとに編纂された文学全集☆彡《大正15年ver》☆彡

本書は大正十五年に文藝誌上に発表された小説・評論・詩歌・俳句などを相対的にチョイスし、編集・掲載した本です。
興味アリアリは正宗白鳥佐藤春夫河東碧梧桐高浜虚子宮沢賢治室生犀星永井荷風三好達治江戸川乱歩など、豪華メンバー!!☆★で読み応えはあるんですが、実はこれ、手違いで図書館から借りたんですよね。…まぁ内容が盛りだくさんで充実してるので楽しいから、借りてよかったけど。心に留まった散文だけメモしておく。

『掌篇小説の流行』/【評論】・・・川端康成

掌編小説というのは手のひらサイズのお手軽文学のこと。(これって、命名者が川端康成なんですか?よくわからんのだけど)

短い小説の利点として

  • 作品にかかる時間が少なくてすむ
  • 誌面スペースも少なくてすむ
  • 作家はお手軽に書ける
  • 読者はお手軽に読める

ってことで文芸界にある発展をもたらすだろう、と言いたいのね、ようするに川端さんは。
結局、コントと掌篇小説との違いについて書いてないじゃん。掌篇小説があまねく「短い小説」をさすなら、コントは一体なんなのさ?っていうか、短編小説との違いもよくわかんないし…

芥川龍之介を哭す』/【評論】・・・佐藤春夫

芥川ファンだから芥川についての回想とかに目がないワテクシ。
「最後まで理智を友としたやうに見える芥川龍之介」 …冒頭からとてもトキメく文章(^^★

自称「見え坊」な芥川、「武士道の代りになる虚栄心」も、佐藤春夫からみれば
「激しい拷問の苔の下で、切歯して一言も洩さないところの人間の私かに勝ち誇つた感情を汝等は知つてゐるか」(BYニーチェ
とその高潔な精神を賛美しているのか必要以上の忍耐を揶揄して “おまいさん、もっと肩の力を抜きなはれ”と言いたいのか
よくわからんけど兎に角 佐藤春夫が芥川にとって数少ない理解者だったってことが解りました。

「しゃべるように書く」&「書くようにしゃべる」の文章論について両人の所見の違いのことが書いてあったけど、佐藤春夫いわく、この討論については芥川自身、『文芸的な、余りに文芸的な』で改めて書いてる、
…あれ、そんなこと書いてたっけ・汗
と慌てて自分ちの本棚の奥深くに埋もれていた『文芸的な〜』(岩波書店)を取り出だす。

あーありますね。『僕らの散文』という項。佐藤春夫の言わんとしてた「しゃべるように書く」美点にはホド遠い話題になっていってるけど(汗)そ、それてる…じゃん

■追記■芥川の愛読した『エトルリアの花瓶』を読みたい。